上七軒とお茶屋さん

紅殻格子の町家が続く上七軒は、京都で一番古い花町です。
しっとりとした町並みを歩くと、三味線の音が聞こえてきたり、運がよければ舞妓さんや芸妓さんを見かけたりすることも。

花柳界な方々

舞妓さん

今は立派な芸妓さんである、お茶屋さん「梅乃」の梅智賀さんがまだ舞妓さんだった頃の写真。
日々お稽古に励み頑張り屋さんの梅智賀さん。これからお座敷に向うときの様子です。

舞妓さんは自毛でお髪を結います。
舞妓さんとしてお座敷に出るのは、だいたい二十歳くらいまで。
舞妓さんとして店出し(デビュー)するには、行儀作法や舞、独特な 花柳界的京言葉などの厳しいお稽古を、習得しなければなりません。

芸妓

芸妓さん 

そして平成18年の秋、梅智賀さんは立派な芸妓さんになられました。
右隣は梅葉さん。梅花祭の野点の帰りに弓月の前にて・・・。
舞妓から芸妓になることを「衿かえ」と言い、今までの長い髪を切り、お座敷では島田型のかつらをつけます。
舞妓さんの時よりもいっそう、踊り・茶道・華道・三味線・鼓などの芸事に精通していなければなりません。
日々自らを磨き芸にうち込む芸妓さんの姿は、立ち居振る舞いも更に洗練され、観る人を魅了します。
写真のような正装姿を『ひきずり』といいます。

少し気軽な白塗りをしない装いは『はいから』とよばれ、お客様とお買い物や映画などにも出かけたりする装いです。
お休みは月2回、お休みの時の芸妓さんはお洋服で過ごすこともあるそうです。

「ことはじめ」

12月13日、一年の区切りとして花街や室町、西陣の旧家などで、これからお正月を迎える準備を始めることを言います。
舞妓さん芸妓さんが、一年の感謝を込めて、本家や得意先、お世話になった方々に挨拶回りをします。色紋付などで、「おめでとうさんどす。どうぞ相変わりませずおたの申します。」と、お茶屋さん、お姉さんのところを挨拶し、励ましの言葉をいただきます。

「髪飾りに稲穂」

舞妓さんが髪にさしているかんざしを「花かんざし」といいます。
月毎に季節感あるかんざしをしますが、1月は元旦から松の内(1月15日)までは、舞妓さん芸妓さんともに髪飾りに縁起物として稲穂をさします。意味は「実るほどに頭を下げる」。また稲穂には小さな鳩の人形がついていて、その鳩の目に「好きな人に目を黒く塗って入れてもらう」という、なんとも粋な風習は今も健在です。

「お化け」

2月のお年越し(2月3日・節分の日)の日は、別称「お化けの日」と言い、舞妓さん芸妓さん達がおのおの好きな仮装をしてお座敷をまわります。
その変装ぶりは様々で、笑いの絶えないにぎやかな宴に。
いわゆる仮装パーティーで、 外国で言うハロウィンのようなものです。

「花かんざし」

舞妓さんが髪にさしているかんざしを「花かんざし」といいます。月毎にかわる季節らしいかんざしに加えて、祭りの時などは特別なかんざしをつけたりもします。

六月は涼しげな柳と撫子。
七月は華やかな団扇。

 

「八朔 はっさく」

八朔とは8月1日のこと。この日、上七軒をはじめ各花柳界では、黒紋付き姿の舞妓さん芸妓さんたちが日頃お世話になっている芸事のお師匠さんやお茶屋さんに挨拶まわりをします。「おめでとうさんどす」「よろしゅうおたの申します」。真夏の花街に暑さを忘れさせる、涼やかな京ことばが交わされます。

歌舞練場

Tel.075-461-0148  営 9:30~17:00  土日祝休
上七軒の舞妓さん芸妓さん達が、日々芸の上達に励むお稽古場でもあり、その成果をお披露目する会場でもあります。春には「北野をどり」・秋には「寿会」が開かれます。
ちなみに舞の流派は花柳流。
池を囲む様式に建てられた、木造のどっしりした趣きのある館の雰囲気も、見所の一つです。

上七軒の予定表

北野をどり 毎年4/15~4/25

毎年、上七軒歌舞練場で、上七軒の特色を生かした舞台を披露しています。
他の花街と違って、お芝居仕立ての「舞踊劇」と踊りのみの「純舞踊」の二部で構成されています。「舞踊劇」は毎年演目が違い、芸妓さんがいろいろな役柄に扮します。
確かなお芝居と踊りはもちろんのこと、西陣とのゆかりが深いだけあり、衣装や舞台美術も見ごたえ十分です。

ビアガーデン 7/1~8/31

歌舞練場のお庭にビアガーデンが設けられ、
舞妓さんや芸妓さんたちの情緒あふれる振る舞いと 京ことばが、 とびきり美味しいビールを味あわせてくれます。

寿会 ことぶきかい 10月上旬

秋の舞の発表会。歌舞練場にて舞妓さんや芸妓さんたちが、日頃鍛錬している踊りや唄をご披露。
観劇前に、舞妓さん芸妓さんによるお抹茶のお点前を頂くことも出来ます。織物で知られる西陣に近いことから、その衣裳も観客の注目の的です。日時は決まり次第、弓月のHPで広報いたします。

瑞饋祭り ずいきまつり 10月1日~5日

北野天満宮の祭事の一つで、ずいき(里芋の茎)神輿を作って祭神の天神様に五穀豊穣を感謝する秋の大祭。4日、御旅所から天神さんへ向かう神輿の行列が門前町・上七軒を通る時、氏子である舞妓さん芸妓さんたちは各お茶屋さんの前でお見送りをします。また、お茶屋さんなどの店先には祭りの暖簾や提灯がかかり、お祭りムードを一層盛り上げてくれます。

献茶祭 けんちゃさい 12月1日

かつて豊臣秀吉公が催した「北野大茶会」ゆかりの、400年あまりの歴史を持つお祭りです。
この日は、北野天満宮の拝服席と境内の茶室以外にも、境外にいくつか副席が設けられますが、舞妓さん芸妓さんたちがお点前やお運びをしてくれる歌舞練場の副席は、華やかなお茶席として毎年たくさんのお客様で賑わいます。